FAQ|海外事業が伸びない理由:4パターン

日本企業の成長市場進出は、リーマンショック後から急加速し、その多数をご支援しまた見守ってきました。海外事業が伸びるかどうかは、組織の学習と能力向上とほぼ同義であり、初級から上級まで四段階ほどあるように感じています。一段階進むごとに、能力は進化し、課題も高度化してゆきます。伸びない理由、突破すべき課題を4パターンに整理しました:

パターン1:売上高に占める海外比率が10%未満の会社の場合

従来の重要顧客の生産ラインが海外移転し、これにともない海外納品をはじめるなど、意味的には「国内売上」がたまたま海外の地で生じている段階が多数を占めます。ローカル企業への販売は試みられるものの、殆どの場合"オーバースペック"で成果にいたりません。この停滞パターンは、出先の営業担当の努力でどうこうなるレベルではなく、本社が《本腰を入れて成長市場でも戦える製品やサービスを創造する覚悟を持てるか》が問われます。しばしば大きな発想のシフトが必要で、現地企業のM&Aやアライアンスを含め、「輸出」発想から「現地再創業」に発想転換できた会社から、ここを突破してゆき、発想転換の遅い会社は、いつまでもこの段階から先に進みません。

パターン2:売上高に占める海外比率が10-30%の会社の場合

ローカル市場のなかに、限定的ながらも事業機会が見えた段階です。ライバルとの本格的な競争がはじまり、市場の多様性や環境の複雑性に直面し、薄利に苦しむ例が多いです。このパターンでは、こうしたくんずほぐれつの戦いを通して、市場特性に即した《わが社なりの勝ちパターン》を見つけられるか、が鍵になります。市場戦略とマーケティング戦略の総力をあげ、販路開発・顧客開拓・組織強化・人材育成・提携買収にわたる果敢な全面取組によって、活路を開いてゆくほかありません。発想力と腕力がモノをいいますが、あわせて、すべきこと/してはならないことが、次々と見えてきて、人材が育ってくる時期です。

パターン3:売上高に占める海外比率が30-60%の会社の場合

勝ちパターンを展開する各国で量産してゆく段階です。通常は一番業績が伸びやすい時期で、勝ちパターンの量産速度と、業務品質の維持のための改善活動に集中できます。ですがもし、この段階で「事業が伸びない」悩みに直面しているとしたら、これは要注意です。製品やサービスの根本的な競争力を衰えさせる、なんらかの重大な異変が基本条件の中で起こっている可能性があります。その場合、海外事業のみならず事業全体について《根本的な戦略の建て直し》が必要になる可能性さえあります。

パターン4:売上高に占める海外比率が60%以上の会社の場合

各地域・各国でそれなりに浸透が進んできた時期で、そろそろ海外事業の伸びしろも天井が見えてきて、自然と成長率は落ち着いてきます。日本でも世界でもナンバーワンのグローバル化達成した日本企業の海外比率は75-80%ほどです。ここからは、《量的成長から質的成長へ》経営の比重をシフトさせてゆくことが肝心です。わが社事業の戦略アセットをどう育て、優位性持続のためにいかに障壁を築くか。そのために、既存事業体を強みとして活かせる近隣異業種への染み出しや、業態の深化をすすめてゆくことになります。

「海外事業が伸びない」悩みは、ステージによってパターンが違うのです。