海外事業比率が着実に50%を超えてきた社長に向けて書きます。
海外市場でも業績を伸ばせる「勝ちパターン」がみつかり、これを順次さまざまな地域に「仕組み」として展開できるようになると、しっかりKPI数値を伸ばせば、面白いように業績数値が伸びてくることがわかり(弊社では、ステージ3の謳歌、と呼びます)、担当者たちはいよいよ自分のミッションとターゲットの完遂に力がはいる、好循環の時期を迎えておられるのではないでしょうか。
これまでの苦労が報われる、ご褒美のような時期です。が、私たちは「この時期ほど、執行役員と経営役員との役割が違う時期はありませんよ」と申し上げることにしています。執行一辺倒では、危険だからです。経営役員には、独自の非常に重要な役割を果たすことが絶対に必要で、真に強い世界企業に脱皮できるかは、このとき決まります。それは、大局視点から現行の「勝ちパターン」に疑問を持ち続けること、です。
***
これで《本当に》よいのか。これ《だけ》でよいのか。《これからも》このままでよいのか。この問いを胸に、①顧客の視点から、②競合の視点から、③働く人々の視点から、丁寧に現場まわりする海外出張を欠かさないようにしてください。なぜなら、いま部下のみなさんが実装に没頭している「勝ちパターン」は、過去のある時点の最適解にすぎないからです。それからだいぶ時間がたち、今日はもう状況が進展しています。
第一に、市場プレゼンスが拡大しています。かつて「まだ早い」と切り捨てていたオプションに、手が届く時期が近づいている可能性があります。第二に、顧客の認識が進んでいます。「おたくはコレやらないんでしょ」という固定観念が育つと、発展的な相談はまるで来なくなります。第三に、競合も貴社の観察をすすめています。活動パターンを学び、付け入るスキをさがし、アレコレしはじめます。第四に、働く人々にも固定観念が育つころです。気づいていても、不満があっても、「うちの会社はこうだから、結局変わらないから」と、定められたKPI達成以外のことは、ほとんど語らなくなります。
高い視点と鋭い感性をお持ちの社長なら、ピンときたこと/何か気になる、と思われたご経験、あるのではないでしょうか。
***
戦略の徹底・執行の徹底は、ぜひとも行わなければなりません。いっぽうで、この徹底には、戦略的対応力・柔軟性の喪失という危険が、古典力学の絶対法則(作用・反作用の法則?)のように伴っていることを、経営役員は肝に銘じてください。
順風満帆とは、執行役員も幹部も、現行戦略の実装とKPI数値達成に、全力をあげているとき。このとき、「その外側も考えてね、新しい手も考えてね」などと「追加オーダー」するのは、苛酷な要望です。これこそは、経営役員(≒社長)の仕事でしょう。
わたしたちは、経営役員の観点から上記4つの点検(成長、顧客、競合、従業員)を行う、セカンドオピニオン・サービスを、この10年ではとくに数多く提供させていただいております。通常は、「顧客満足度革新プロジェクト」などの看板を掲げ、まずは現場にはいり一人一人の顔を覚え、声にじっくり向き合い、小さな課題・大きな課題すべてに触れながら、推進中の大戦略の点検を行うのです。とりわけ、我々には人事評価者・被評価者の関係性がありませんから(=第三の目)、ふだん社長は絶対に見せない・聴かせないことまで、みてくること・聞いてくることができます。

