発想転換|「技術流出防止」から「顧客獲得速度」へ

中国ビジネスの学びを、インドでどう活かすか

インド市場での本格浸透を検討されている社長に向けて書きます。

多くの皆さんが、20-25年前から中国事業にも本格的に取り組まれ、力を尽くされてこられたものと拝察します。そしてこの時間軸の中で、地元競合はめきめきと力をつけ、近年では激しい価格競争に襲われ、しかも市場全体が低成長に転じ、難しい決断に直面しておられる方も少なくないのではないでしょうか。

社業全体でみれば、ここでのマイナスを補うべく今後おおきく規模をのばしてゆくインド市場に成長の軸足を移すことは、合理的で、かつぜひ成し遂げるべき経営課題ですが、中国で経験してきたことを、どう「学び」として結晶化するかが、いま非常に重要なポイントになっています。なぜなら、これから25年のうちにインド市場でも、中国とほぼ同じ構造が繰り返されるに違いないからです。

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日本企業にとって、成長国での競争は、5年~8年単位で、①品質⇒②納期⇒③価格とシフトしてゆきます。はじめは「わが社の技術」という得意技をメインに据えれば勝てるものの、徐々にアジリティ、最後は効率性という、新たに獲得しなければならないスキルセットによって、勝ち抜かねばならない、ということを意味しています

したがって、技術流出防止を最優先に、単独資本で進出することは、冒頭当面の戦い方としてはそれなりに合理性があるわけですが、ここに軸足を置きすぎるあまり、現地競合が自然とそなえているアジリティや効率性の獲得が後手にまわるとすると、インドでも中国と同様の轍を踏むことになります。

分野にもよりますが一般に「技術優位性」は時間とともに失われてゆく性質があります。競合が累積経験を積み、技術者雇用レベルでノウハウはいくらでも移転してしまうからです。したがって、進出当初は技術力でしのぐとしても、経営レベルでは、むしろすみやかに、スピード(遅れることが最大リスク)、市場シェア(利益より先に基幹顧客獲得)、ローカル化(日本人中心では勝てない)、顧客密着(信頼をえて内部化を進める)を実現すべく、梃子を入れる必要があるわけです。

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それは、単独資本による進出がベストなのかどうか。目標は25年後に「市場で勝組になっている事業体をインド市場に保有」することであって、「秘中の秘の技術を流出させない」ことでは、ないのです。ハンズオンを徹底して行う、PEファンド的な発想が必要になってきました。「市場良品」を次々に繰り出し、現地の重要顧客への浸透をぐいぐい進める。そうした現地人事業チームを、自社の傘下におさめ、一体化してゆくことが求められるのです。