成長めざましい南アジア地域への本格取り組み時期を探っておられる社長にむけて書きます。
総論(B2B企業戦略)
この10年間でインド工場の生産設備は急速に増大しましたが、その大半は国内需要にむけた廉価なB2C製品の生産設備でした。こうした工場の生産設備は、当初は日欧外資系にも多少の参入チャンスがありましたが、市場が拡がるにつれ高性能であるよりも廉価であることが遥かに重要になり、ある時点からインド国内のB2B事業者による廉価な機械や設備が市場を席捲してゆきました。結果として、インド国内のB2B事業者は、内需向け機械を大量生産し、確かな廉価生産の力をつけています。こうして展開された膨大な生産設備が、次第にワールドクラスの製造設備にレベルアップしてゆくのがこれからの20年だと考えられます。従来は高付加価値すぎて需要の少なかった日系B2B製品技術も、これから需要が立ち上がることが予想されます。
各論1|量的拡大にこたえる生産設備需要は基本現地勢が強い
B2B分野では「8割2割」という言葉を使うことがしばしばあります。現地の競合製品は、われわれと比べて性能は「8割」だが価格は「2割」で、結果勝負にならない、という事態をそう呼んでいます。ローカル製品ははじめ「5割2割」ぐらいなのですが、大量の需要にこたえ大量に生産しているうちに、性能をじわじわと高め、最終的に「8割2割」に近づきます。こうした競争になると、日系の製品は少々コストダウンしたところで、ほぼ勝負になりません。
各論2|むしろ、じわじわと伸び始める高度な生産設備需要にチャンスがある
日系B2B企業の殆どは、高度経済成長を80年代に終え、その後の永い停滞時代を生き抜くために、高付加価値化を遂げました。高精度、高耐久、高性能、省エネ、高稼働など、日系製品の持つ強みは、インドではこれからゆっくりと立ち上がってきます。もちろんインドにこうした技術やノウハウを持つ企業はなく、先見の明があるインドB2B事業のオーナーたちには、こうした技術に備える必要があることを静かに認識し、欧州勢か日本勢との提携を考え始めています。
各論3|製品にもよるが、JVによる参入は有効な手段となることがある
独資で参入するか、現地で提携を求めるかは、製品の特性や経営哲学次第です。一般に、優良顧客開拓が容易でなかったり、製品のコア部分以外では廉価生産力が活きる場合などでは、現地事業者とのJVが、優れた手として浮かび上がってきます。じっさい、市場開拓力が高く、廉価製造の技術基盤を確立しした、信頼関係を取り結びやすい現地企業との提携は、多くの日系B2B企業を成功に導いてきた実績があります。日本企業側は、技術力だけでなく、提携マネジメント力・JV子会社育成を導く力などが、求められ鍛えられます。「絶対良品」主義を卒業し「市場良品」を志向できるようになるかで、行く末が決まります。

